鉄道旅はバックパックで
先日、2泊3日の旅行に出ました。今回は鉄道移動がメインの旅程。乗り換え時刻の確認やマップを見るために、スマホを手に持つ時間が多くなりそうだと思い、両手がフリーになるバックパックで行くことにしました。
とはいえ持っているバックパックは、20Lくらいの小さなもので、2泊3日の荷物は入りません。これを機に旅行に使えるバックパックを買おうと調べました。
条件は「軽くて、飛行機内持ち込み可能な30~40Lクラス」で、ネットであれこれ探して候補を絞り込んで行きました。
ところが、いざ探してみると、旅に特化したモデルはまあまあなお値段。使用頻度を考えると二の足を踏んでしまいます。かと言ってお手頃に買える物は、街中で学生が背負っていそうなデザインで、どちらもよい製品だと分かっていても、なかなか決定には至らず…
最終候補のひとつとして真剣に悩んだのが、無印良品の「肩の負担を軽くする 撥水 上から開く リュックサック」でした。レビューは高評価で価格は5,990円、シンプルゆえに使い勝手はよさそうです。
ただ私の場合、旅行にノートパソコンは持たないので専用ポケットは不要。さらにキャリーバーに取付けるベルトより、背負って歩いたときに安定するチェストベルトが欲しいというこだわりがあって、2週間ほど悩んだ挙句、決定には至りませんでした。
候補をアウトドアブランドにも広げて探したところ、理想に最も近いバックパックにようやく出会えました。それがQUECHUA(ケシュア)Arpenaz 500 30Lです。
無印良品と同じ5,990円という価格でありながら、「ポケットが豊富」「トレッキング向きの機能が充実」を搭載。何より特徴的なバッグの底部ポケットが決め手となって、ほぼ即決で購入。
QUECHUA(ケシュア)とは?コスパに優れたフランス発アウトドアブランド
QUECHUA(ケシュア)は1997年にフランス・モンブランの麓で誕生した総合スポーツ用品メーカーDecathlon(デカトロン)発祥のキャンプ・ハイキング向けアウトドアブランドです。
日本には2010年前後から大手ECサイト「ナチュラム」等を通じて浸透し、当時は高いコスパで話題となりました。
2019年の日本法人設立による実店舗展開(のち一度撤退)を経て、現在はECや卸売に加え、2025年からは再始動した実店舗でも展開されています。最近では、近所のメガスポーツでも見かけるようになりました。なので現在の日本では、知る人ぞ知るブランドといえるかもしれません。
ケシュアの製品は以前にインフレータブル・マットを買って、車中泊やオートキャンプ泊で愛用していました。
登山・トレッキングはしない、移動はクルマがメインというスタイルなので、重量や素材よりも手頃な価格で快眠できるマットを重視して選びましたが、これが大正解。当時からそのコスパの高さには信頼をおいていました。
迷う楽しさ!Arpenaz 500のラインナップと選び方
ひとくちに「Arpenaz 500」と言っても、複数のモデルが存在します。(価格は2026年10月現在のデカトロン公式楽天市場店を参考)
・ソリッドなブラックカラー(今回購入)

私が購入したモデルです。サイズは30L(5,990円)と20L(4,990円)の2展開。
30Lモデルに備わる底部ポケットは単なる収納スペースで、保冷機能はありません。また、メインコンパートメントとの仕切り部分は縫製されており、取り外しはできません。
一方、20Lモデルは底部ポケットが省略されていますが、重量650gと軽量なのが魅力です。
・ ヘザー調のブラックカラー(保冷機能付き)
もうひとつが、少し霜降りがかったヘザー調のブラックモデル。こちらはバッグ底部のポケットに保冷機能が備わっており、価格は30L(9,990円)と20L(8,990円)です。
どちらも底部ポケットは4Lの容量があり、氷なしでも食品の鮮度を3時間キープ可能。さらにブランケットシートも付属しているため、日帰りピクニックや低山トレッキングに最適な仕様となっています。
こちらは底部ポケットの仕切りを開けて、1気室(大きな1つの部屋)としても使えます。
ただ、気になる点として重量が20Lで1kg、30Lで1.3kgあり、本格的なトレッキング用としては少し重めな印象を受けます。
海外各地のデカトロン公式を覗いてみると、同じArpenaz 500でもブラウンやグリーンの色違いがあったり、日本モデルではロゴマークになっている箇所がラッシュタブ(紐などを通すパーツ)に変わっていたりと、バリエーションを見るだけでも楽しくなります。
Arpenaz 500 30Lの実際のサイズ・重量・素材
2026年10月現在、日本のデカトロン公式ECサイトに「高さ48cm、幅28cm、奥行き8cm」とありますが、”奥行き8cm”はありえないサイズ感なので、誤記をそのまま世界展開した?と思われます。
正確なサイズはフランスの公式にも載っていませんが、デカトロン・インドを検索すると”Product specifications”(製品仕様)ページにDEPTH (IN CM)18 cm(奥行)の表記を見つけ、サイズ感をそこから推察しています。
自分で外寸を大まかに計ると、高さ50cm×幅30cm×奥行20cmといったところ。重量はトレッキング用としてはやや重い850g(実測845g)となっています。
飛行機内持ち込みについては、100席以上の機体であればクリアしますが、100席未満の小型機だと、ちょいと厳しそうです。
多くのLCC(格安航空会社)では、機内持ち込みの手荷物は重量7kgまでという制限が多いため、おみやげをたくさん詰め込むときは、バッグ自体の重さも少し意識しておいたほうが良さそうです。
使われている素材はポリエステルで、手頃な価格帯のバックパックやリュックでよく見かける標準的な生地ですが、メーカー側は「耐摩耗性素材と縫製」を謳っています。日頃からコーデュラナイロンといった、ガチガチにタフなバッグを使っているなら、少し柔らかく感じるかもしれません。
メインコンパートメントの表側ポケットには、SBSの刻印が入ったファスナーがありました。それ以外のファスナーはパラコード風の引き手が付いた仕様で、すべてのファスナーが引っ掛かりを感じることはなく、スムーズに開閉できます。
多すぎず少なすぎない!鉄道旅で活きる収納力
バックパック選びで苦労したのが、収納ポケットの位置やその数です。
ビジネス寄りのモデルはやたらと小分け仕切りが多く、肝心な物が入らなかったり。逆におしゃれ優先だと、ポケットが少なすぎて、小物の定位置に困ったりします。
その点、Arpenaz 500は「多すぎず、少なすぎない」絶妙なバランスなのです。

①底部コンパートメント

荷物に応じて上下のスペースを使い分けられる、このバッグ最大の注目ポイントです。
内寸をざっと測ると幅29cm×奥行18cm×深さ7cmほど。

メイン側に荷物を満載していても、ここに必要な物を分けておけば、駅のホームや車内でバッグの中身をぶちまけて探す必要がありません。ジッパーを開けるだけで、アクセスできるのは大きなメリットと言えるでしょう。

今回は列車内で履き替えるスリッポンと、現地行動用のサブバッグを畳んだ状態で入れました。
例えば現地で使う、夏なら”サンダルとクールネックリング”、冬は”極寒用グローブとマフラー”といったように、交通機関を降りてすぐ、気候変化に即座に対応できるアイテムを忍ばせておくストレージとして活かせます。
⚠️ただし注意点が3つあります。
1.パッキングの順番
メインコンパートメントの裏地が、底部ポケット側まで干渉しています。先にメイン側に荷物を入れると、底部ポケット側に裏地が膨れ出して物が入らなくなるため、必ず「底部→メイン」の順で収納する必要があります。

2.自立のバランス
底部に荷物が入っている状態ならバッグは自立しますが、ここの荷物を取り出すと、メイン側の重みでバランスが崩れ、高確率で前にバタンと倒れます。
3.シューズのサイズ
靴を入れる場合、左右を並べては入りません。「靴の底同士を互い違いに組み合わせ、横向きで入れる」という工夫が必要です。
試しにアディダスのスニーカー(レディスモデル、サイズJP230・US6・UK4 1/2)をを入れたところ、横方向に指1本分の余裕を持って収まりました。

私の履き慣れたメレルのジャングル モック メッシュ(MERRELL JUNGLE MOC MESH)のサイズUS7.5/UK7を入れた場合、ほぼ内寸いっぱいで他の物を入れる余地はゼロに。外寸の大きな靴を入れる場合は、事前の現物合わせが必須です。

②ウォーターボトル用ポケット
左右のサイドには、伸縮性があり薄くて柔らかい、まるでタイツのような素材のポケットが付いています。
マチが3.5cmほどあるので、直径7~8cmのボトルがほどよく収まります。ポケット自体の幅は13~14cmあるので、薄い物であればボトルに限らず、一時置きなどにも便利です。

ただ1Lのペットボトルでも、生地が自重で伸びてしまうので、あまりにも重いものを常時入れるのは、避けたほうがよさそうです。

③前側ジッパーポケット
行動中にアクセスしやすいポケットです。一見すると薄い物しか入らないように見えますが、実は縦方向に約4cmほどのマチが折り込まれています。さらに内部がジッパーの開口部よりも上方向に広く、見た目以上に収容力があります。

今回の旅では、医者から処方されたシップ薬を入れましたが、チャック部分から上を少し折り曲げると、すんなり入りました。マチがあるので、さらにカロリーメイト(4本入り)1箱とソイジョイを3本入れる余裕があります。
ザックカバー(レインカバー)を常備しておく場所としても、ちょうど収まりそうです。
④前側コンパートメント
ジッパーを開けるとすぐに、仕切られたメッシュのオープンポケットが現れます。横幅は約23cmくらいで、3分の1のあたりで仕切られて、狭いポケットと広いポケットになっています。

狭い側はスマホが入りそうです。試しに愛用しているAQUOS R9(156mm×75mm×8.9mm)では、横幅と厚みがギリギリ入るくらい。iPhone15(147.6 mm × 71.6 mm × 7.8 mm)だと、絶妙にぴったり。どちらもカバーやケースが付いた状態では無理。注意として、仕切りの位置は縫製のバラつきによる個体差がありますので、参考程度に捉えていただければ幸いです。

広いポケットは、二つ折り財布ならすっぽりと入るサイズ感。スマホにカバーやケースを付けて使っているならば、こちらに収納するのが取り出しやすいでしょう。ちなみにこちらにもカロリーメイト1箱がすっぽりと収まる横幅と厚みがあります。
コンパートメント全体の広さは、A4用紙がちょうど収まるくらいですが、クリアファイルに入れた状態だと、角が少し曲がってしまいます。シワくちゃにしたくない大切な書類などは、後述する「ハイドレーションパック用コンパートメント」部分に保管するのが精神衛生上、おすすめです。

⑤ハイドレーションパック用コンパートメント
本来は登山中にチューブで水分補給するための給水袋(ハイドレーション)を吊り下げるスペースです。
背中側にしっかりしたボードが仕込まれ、表側は薄いもののクッション性のある生地で仕切られているので、ノートパソコンが入りそうな雰囲気を醸し出しています。
試しに14インチのノートPCを入れたところ、横は少し余裕がある状態で収まりました。ただ縦は6cmほど露出しており、またクッション自体は極薄なので、ノートパソコンの持ち運びは「できなくはないけれど、おすすめはしない」という印象です。

今回はこのコンパートメント上部にある給水袋吊り下げ用フックを利用して、ちょっとしたカスタムを施しました。
小ぶりの「カメラ用ソフトインナーケース」に、結束バンド(ケーブルタイ)でリングを作って通し、フックにぶら下げてみたのです。

結果は大成功。バックパックの上部から、ミラーレス一眼本体や交換レンズがスマートに取り出せるようになりました。メモリーカードなどの迷子になりがちな小物を探す手間も省け、我ながらとても気に入っているカスタマイズです。
⑥メインコンパートメントの表側ポケット
バックパックの内側、かつチャック付きの隠しポケットのような位置づけです。絶対に落としたくない貴重品入れとしてはもちろん、そこそこ大きくてアクセスが良いため、オールマイティーに活躍します。

試しに、ミラーレス一眼「LUMIX GX7MK2」(海外名:GX80,GX85)に標準レンズ(12-32mm/F3.5-5.6)を装着した状態で入れてみたところ、難なくすっぽりと収まりました。デジカメを実際に入れることはないと思いますが、旅行中の予備バッテリーや、細々としたガジェット類をまとめて放り込むのに抜群の使い勝手です。
⑦トレッキングポール用ループとバンジーコード
バッグ左側には、登山用の杖(トレッキングポール)を括り付けるループが備わっています。コードの端が縛られているだけなので「旅先では使わないから外そう」と当初は考えていました。
ところが、旅行の直前に運悪く足を痛めてしまい、急遽トレッキングポールを杖として持って出かけることに。結果的に、このループがあって本当に救われました。

バンジーコードの終端には、軟質のプラスチックでほつれ止めが施されており、コードストッパーは、見た目もスイリッシュなブロック・ウイング型。これは手袋をしたままでも、指先でグッと絞り込みやすいタイプなので、寒い季節の旅行でもうれしいディテールです。
実際に2泊3日の旅行で使った感想
旅行の前日、パッキングした荷物のリストです。
- 着替え(トップス2枚、ボトム1着)
- 薄手のアウター1着
- ルームウェア(宿のガウンや浴衣が苦手w)
- 下着類2日分(ジップロックもどきの袋で圧縮)
- 折りたたみマット(エバニューEBY462)
- ミラーレス一眼(GX7MK2+12-32mm)
- アクションカメラ(OSMO ACTION4)
- 自撮り棒(ACTION4キット付属)
- バッテリーケース(ACTION4キット付属)
- ミニ三脚(Leofoto MT-03)
- モバイルバッテリー
- メモリーカードケース
- AC充電器
- USBケーブル3本(CtoC,AtoC,LUMIX付属)
- 常備薬・絆創膏のポーチ
- カメラクリーナー類
- スリッポン
- サブバッグ
- 折りたたみ傘
- 小型LEDライト
この程度の荷物なのでバックパックの中は、まだまだ余裕。
着替えや下着の類は、100均のセリアで買った「トラベル用サイドメッシュケースLサイズ」でひとまとめにして、メインコンパートメントに。
旅の相棒である、GX7MK2とACTION4、メモリーカードケースなどは、TSC「ソフトインナーボックス S」に入れて、前述の通りハイドレーション用のフックに装着。
自撮り棒とミニ三脚は、前側コンパートメントに突っ込んでいます。
残った充電関係やカメラのメンテ用具は、無印良品の「自由に組み合わせられる収納ケース・長方形・薄型小」に詰め込んでメインコンパートメントへ。入れる物が多いので薄型ではなく、ふっくらと丸みを帯びたシルエットになってしまいましたが、思った以上に入るので、すごく重宝しました。
総重量を測ると約5.5kgくらい、まあこんなところでしょう。
旅する中で、背負った実感
トレッキングではなく、駅の乗り換えや宿まで徒歩移動といった、短距離・短時間での使用でしたが、背負い心地はとても快適で良好でした。
背面には通気性を考慮したハニカム構造の厚いパッドが2枚配置されています。さらに内部の背面ボードのおかげで、中の荷物が背中にゴツゴツ当たる不快感がまったくありません。「トレッキングモデルとして、本当に真面目に作られているな」と感心させられます。
背中のパッドに接する部分は、多少熱がこもるのを感じますが、パッドの中空部分はつねに快適。中綿入りショルダーストラップも肩への当たりが柔らかく、エッジが擦れて痛くなることもありません。
また、ショルダーストラップには親指をかけて荷重を分散できるサムレスト(親指用ループ)まで付いています。5,990円の価格でこの本格装備が付いているのには正直驚きました。
移動時はチェストベルト(胸部ベルト)を締めると歩行の安定感が増します。ウエストベルト(腰部ベルト)が取り外し不可なのは少し残念でしたが、使わない時は短く束ねておけば、本体と背中の間に挟まって痛むこともなく、邪魔になることはありませんでした。
Arpenaz 500 30Lはこんな人におすすめ
5,990円という購入しやすい価格でありながら、トレッキングを前提に作られているので、背負いやすさと歩きやすさは、文句のつけようがありません。私のように鉄道旅の相棒として使っても、ほどよい収納が、これからの旅の快適度を高めてくれる予感しかありません。
日本市場に登場したばかりの頃のケシュアは、「コスパはいいけど耐久性が…」という声を聞いたことがあります。仮にそうであっても、この価格なら気兼ねなくガンガン使い倒せて、最悪壊れても諦めがつきます。
ところが今のケシュアは、このアンダー6,000円格安モデルのArpenaz 500 30Lであっても、「購入日から10年間の製品保証」を付けているのです。これは品質管理を徹底的に高めたという、メーカーの自信の表れでしょう。
このバックパックが寿命を迎えるより、もしかすると、先に自分が旅をあきらめる日が、訪れるかもしれません。そのときまで、この新しい相棒と、気の向くまま旅したいなと思います。
