電気知識ゼロからのポータブル電源選び
ポータブル電源(以下、ポタ電)を選ぶうえで、「自分の使い道にこの製品は十分な容量があるか?」という点は、真剣に購入を考えるとき、誰でも悩むポイントではないでしょうか?
現実的には、1台のポタ電で「スマホ」「カメラ」「ハンディファン」「ケトルで湯沸かし」「プロジェクター」など、複数のタスクをこなすのが当たり前です。メーカーの製品ページに「スマホは何回充電できる?」と書いてあっても、それだけでは自分の使い道に十分な容量なのかがよく分かりません。
私自身は正直なところ電気の知識がなくて、照明の電球が切れたときに、ワット数を気にする程度のレベル。さらに学校で習ったこともきれいさっぱりと忘れてしまっているお年頃なので……これは生成AIにお願いする案件ですね(笑)

ポータブル電源の使用時間を計算する方法を教えて!

実は、ポータブル電源の使用時間や充電回数は、簡単な計算式で誰でもすぐに導き出すことができるんですよ。
【基本】ポータブル電源の使用時間を求める計算式

まずは一番基本となる、家電を動かせる「使用時間」の計算方法です。必要なのは、次の2つの数字だけです。
- ポータブル電源の容量(Wh / ワットアワー)
- 使いたい家電の消費電力(W / ワット)
基本の計算式:
ポータブル電源の容量(Wh) ÷ 使いたい家電の消費電力(W) = 使用時間(h)
※「h」は時間(Hour)のことです。

例えば、容量が 500Wh のポータブル電源で、消費電力が 50W の電気毛布を使う場合、計算は以下のようになります。
・500Wh ÷ 50W = 10時間

案外シンプルだね!
【注意】実際は「計算通りの時間」までは使えない?(変換ロスのお話)

「よし、10時間使えるんだな!」……と言いたいところなのですが、ここに絶対に知っておくべき落とし穴があります。実は、ポータブル電源は計算上の時間を100%フルに使い切ることはできません。

え、どうして?

ポータブル電源の内部バッテリー(直流)から、家庭用コンセントと同じ電気(交流)に変換するときに、どうしても「変換ロス(熱などになって逃げるエネルギー)」が発生するからです。
一般的に、実際に使える実効容量は全体の「約80%〜85%」と言われています。そのため、よりリアルな使用時間を知りたいときは、以下の「ロスを考慮した計算式」を使ってください。
実用的な計算式:
ポータブル電源の容量(Wh) × 0.8 ÷ 家電の消費電力(W) = 実際の使用時間(h)

先ほどの「500Whの電源 + 50Wの電気毛布」の例で再計算してみましょう。
- 500Wh × 0.8 = 400Wh (これが実際に使える現実的な容量)
- 400Wh ÷ 50W = 8時間

計算上は10時間だけど、実際に使うときは「約8時間」と見積もっておくのが正解なんだね。
【応用編①】充電器に「W」ではなく「V・A」と書かれている場合は?

ここからは応用編です。デジカメの充電器やスマホのACアダプターを見てみると、なぜか「W(ワット)」ではなく、「8.4V 0.7A」のように電圧(V)と電流(A)で書かれていることが多いですよね。

そうそう、あれ何でなんだろうって思ってた。

この場合は、小学校の理科で習ったこの公式を使えば、すぐにW(消費電力)に変換できますよ。

小学校かぁ……(遠い目)
Wを出す計算式:
電圧(V) × 電流(A) = 消費電力(W)

手持ちのデジカメの純正充電器(コンセントに挿すタイプ)の裏側を見てみましょう。

じゃあ持っているニコンの「MH-25」でやってみよう。表記は 8.4V 1.2A って書いてある。
- 計算: 8.4V × 1.2A = 約10.08W
消費電力は「10.08W」でいいのかな?


大正解です!このように、「VとAを掛け算するだけ」で消費電力が分かります。もしこの充電器を先ほどのポータブル電源(実効容量400Wh)に挿して使うなら、400Wh ÷ 10.08W = 約39時間 も通電し続けられる、ということになります。
【応用編②】デジカメのバッテリーは「何回」充電できる?

次に気になるのが、「このポータブル電源で、デジカメのバッテリーは何回フル充電できるの?」という点だね。ニコンの「EN-EL15」は “1900mAh” だから、そのまま割ればいいの?


ここが多くの方の落とし穴です!「ポータブル電源のWh」と「バッテリーのmAh」をそのまま割り算しようとしてしまいますが、単位が違うためそのままでは計算できません。 まずはデジカメバッテリーの容量を「Wh(ワットアワー)」に変換しましょう。
mAhをWhに直す計算式:
電圧(V) × 電流容量(mAh) ÷ 1000 = バッテリーの容量(Wh)
※「m(ミリ)」は1000分の一という意味なので、最後に1000で割ります。

ニコン「EN-EL15」の電圧は「7.0V」なので、これで計算します。
- バッテリーの表記:
7.0V 1900mAh - 計算: 7.0V × 1900mAh ÷ 1000 = 13.3Wh
これで単位が揃いました!では、500Wh(実効容量400Wh)のポータブル電源で何回充電できるか計算してみます。
充電回数の計算式:
ポータブル電源の実効容量(Wh) ÷ バッテリーの容量(Wh) = 充電回数
400Wh ÷ 13.3Wh = 約30.0回

なんと、デジカメのバッテリーを約30回もフル充電できることが分かりました。これなら長期の撮影旅行でもバッテリー切れの心配はありませんね。

いやそれは長期の撮影旅行すぎるね……自分のバッテリーが切れちゃうよ(笑)
【実践】空のバッテリーは「何時間」で満充電になる?

じゃあ、充電が終わるまで何時間かかるか、も分かるの?

充電器のパワー(W)と、バッテリーの容量(Wh)が分かれば、その疑問も解決します。ここまでの数字をおさらいしましょう。
- 充電器のパワー: 約10.08W(8.4V × 1.2A)
- バッテリーの容量: 約13.3Wh(7.0V × 1900mAh ÷ 1000)
この2つを使って、以下の式に当てはめます。
充電時間を求める計算式:
バッテリーの容量(Wh) ÷ 充電器のパワー(W) = 充電時間(h)
13.3Wh ÷ 10.08W = 約1.32時間

1時間は60分なので、0.32時間は「60 × 0.32 = 約19分」。つまり、計算上は「約1時間19分」で満充電になるということが分かります!

お、なかなか早いね!……あれ?でもメーカー公称の充電時間は「2時間35分」なんだけど? しかも、バッテリーをよく見たら「14Wh」って書いてあるよ?

めちゃくちゃ鋭い着眼点です!結論から言うと、HARUNOさんの計算は1ミリも間違っていません。では、なぜ1時間以上もズレるのか、その理由をお話ししますね。
知っておくと得する「実際の充電時間が長い理由」

なぜ実際の充電はそんなに余分に時間がかかるの?

理由は、「セーフティ機能」が、私たちが想像する以上にものすごく慎重に電気をコントロールしているからです。具体的には、以下の2つの理由(リチウムイオン電池の充電特性)によるものです。
1. ずっと「10.08W」のフルパワーで充電しているわけではない
充電器の「8.4V 1.2A(10.08W)」というのは最大パワーのことで、充電の最初から最後までずっとそのパワーで電気を送り続けているわけではありません。
バッテリーが空に近い前半はガツガツ充電しますが、容量が70〜80%を超えた後半からは、バッテリーが劣化しないよう電流を「0.5A…0.2A…」とドカンと落として慎重に充電します。そのため、後半はどうしても時間がかかります。
2. 充電器とバッテリーの「電圧の差」によるロス
計算で 13.3Wh ÷ 10.08W をされましたが、この「10.08W」は充電器側(8.4V)の基準です。しかし、実際にバッテリーの中に蓄えられる電気はバッテリー側(7.0V)の基準になります。
電圧を調整する際などに、ここでも「充電効率のロス(約10%〜20%)」が発生し、熱などになって逃げています。そのため、実質的な充電効率は全体を通すと大体60%(0.6)くらいに落ちるのです。

ふむふむ、電気も人生も焦らないことが大事なんだね。では「14Wh」の謎は?
【プチ雑学】「13.3Wh」の計算なのに「14Wh」と書いてある謎

Nikonのバッテリー(EN-EL15など)の裏側をよーく見ると、ちょっと不思議な表記に気づきます。
7.0V 1900mAh(計算すると 13.3Wh)- すぐ横に
14Whとも書いてある
これは「定格(ミニマムの保証値)」と「公称(一般的な標準値)」の表記が混ざっているからです。
- 13.3Wh(定格容量): 国の厳しい基準(PSEマークなど)をクリアするために、「どんなに調子が悪くても、最低限これだけのパワーは絶対に保証します」という最低限のラインです。
- 14Wh(公称容量): メーカーが「このバッテリーの本来の実力(設計上の標準値)はこれくらいです!」とアピールしている基準の数字です。

ポータブル電源の計算をするときは、少し余裕を見て大きい方の数字(14Wh)で計算しておけば間違いありませんよ!

メーカーの間違いではなく、法律を守るための真面目なトリプル表記なんだね。
【落とし穴】バッテリーが14Whなのに、ポタ電の容量は「約33Wh」も減る?

じゃあ実効容量400Whなら、バッテリーが14Whとして、28回くらい充電できる計算だね。

計算上はそう見えますが、実はここにも罠があります!充電にかかる時間(待機ロス)などを考えると、「ポタ電から引かれる容量」はバッテリー容量よりもずっと多くなるんです。
HARUNOさんの機材を例に、リアルな計算をしてみましょう。
- 充電器の最大パワー: 10.08W
- 公称の充電時間: 2時間35分(約2.58時間)
消費電力量(Wh) = 充電器のパワー(W) × 充電時間(h)
10.08W × 2.58時間 = 約26.0Wh

さらに、ポータブル電源自体の「変換ロス(約80%)」を考慮すると、実際にポータブル電源のメーターから引かれる容量は、26.0Wh ÷ 0.8 = 約32.5Wh(約33Wh) になります。

ええっ!「バッテリー自体の容量は14Wh」なのに、ポタ電のバッテリーは「約33Wh分」も減っちゃうの!?

そうなんです。理由は、充電の後半で電流が弱まったときでも、「充電器自体の基盤を動かす電力」や「ポータブル電源を起動し続けるための電力」などの『待機電力のようなロス』が、2時間35分の間ずっと発生し続けているからです。

そうなると実際は 400Wh ÷ 32.5Wh で、12回程度の充電ができることになるんだね。最初の「30回」から比べると、リアルな数字が見えてきたぞ。
【対策】実はポートで違う?「ACコンセント」と「USB」のロスの差

ポタ電の電気を少しでも長持ちさせたいですよね。実は、デジカメやスマホを充電するとき、どのポートに挿すかでバッテリーの減り方がまったく変わってきます。
① ACコンセント(純正充電器)を使う場合:ロスが「2回」発生する
コンセントに挿すタイプの純正充電器を使うと、電気の変換が2回も行われるため、ロスがダブルで発生します。
- ポタ電の内部: バッテリー(直流) ➔ コンセント(交流100V)へ変換(約80%に目減り)
- デジカメの充電器: コンセント(交流100V) ➔ デジカメ用(直流8.4Vなど)へ変換(さらに目減り)
100あった電気が、ポタ電の中で80になり、充電器の中でさらに60〜70まで減ってしまうイメージです。だから先ほどの計算のように、14Whのバッテリーに対してポタ電側が33Wh近くも減ってしまう現象が起きます。
② USBポートから直接充電する場合:ロスを「1回」に抑えられる
最近のカメラで、本体に直接USBケーブル(Type-Cなど)を挿して充電できるタイプ(USB充電・給電対応)なら、圧倒的にエコになります。
- ポタ電の内部: バッテリー(直流) ➔ USB(直流5Vや9Vなど)へ変換(効率約90%と非常に優秀)
ポタ電の内部バッテリーもUSBも同じ「直流(DC)」なので、ACコンセントを通すときのような劇的なロスがありません。

少しでもポータブル電源を長持ちさせたいなら、純正のAC充電器を使うのではなく、カメラ本体のUSB充電機能を使って、ポタ電のUSBポートから直接充電するのがベストなんだね!
あ、でもEN-EL15は本体のUSB充電は非対応だった…そういえば社外品のUSB充電器を持ってたよ…これでやってみるか!
※USB充電器の動作を保証するものではありません。使用についてはご自身の判断でお願いします。

【裏技】実は「シガーソケット」もポタ電を長持ちさせる特等席

もうひとつ、ポータブル電源に付いている丸い穴、「シガーソケット」 も大活躍します。なぜなら、シガーソケットから出る電気も「直流(DC)」だからです。
ポタ電の内部バッテリー(直流)からシガーソケット(直流)へ送るときは、電圧を少し調整するだけなのでロスが非常に少なくなります(効率約90%以上)。

車でよく使う「シガーソケットに挿すタイプのUSB充電器(カーチャージャー)」をポタ電に挿して、そこからカメラやスマホを充電すればいいんだね。

その通りです!
- ACコンセント+純正充電器: ロスが2回(ポタ電が一番ゴリゴリ減る)
- シガーソケット+カーチャージャー: 直流のまま変換できるので、ロスが最小限に抑えられる
「ポータブル電源のコンセントが他の家電で埋まっている」という時にも使えますし、何よりポタ電の電気を一番長持ちさせられる賢い方法です。旅行や撮影に出かける際は、ぜひカーチャージャーをポタ電に挿してみてください!
まとめ:計算方法を知って、スマートに旅の準備をしよう!

ポータブル電源とデジカメ周辺の計算方法をまとめます。
- 実際の使用時間:
容量(Wh) × 0.8 ÷ 消費電力(W) - 充電器のW数:
電圧(V) × 電流(A) - バッテリーのWh数:
電圧(V) × 容量(mAh) ÷ 1000 - 実際の充電減りベースの回数:
ポタ電の実効容量(容量×0.8) ÷ 実際の消費電力量(充電器のパワー(W) × 公称の充電時間(h)× 0.8)
一見難しそうに見える電気の計算ですが、一つずつ紐解いていけば、手持ちの機材の裏側を見るだけで簡単に計算ができますね。
そしてポタ電の実効容量から、使いたい機器ごとに計算して引き算をすれば、その容量で足りるかどうかが判っていく、ということになります。

これからポータブル電源を購入する方は、自分が使いたい家電の消費電力をあらかじめ計算してみて、「必要になりそうな容量の1.2〜1.3倍」のモデルを選んでおくと安心ですよ。スマートに準備をして、快適な旅や撮影を楽しんでくださいね!
こんなやりとりの結果、私の用途では500~600Wクラスで500Whの容量が最適と判断しました。AIのおかげで少しはポータブル電源の理解を深めれたことに感謝です。
具体的な機種選びは、追々と別記事にしていきます。

